2月29日第80回日本胃癌学会総会に参加しました。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が普及し、早期胃癌に対する内視鏡的治療の適応拡大が、研究的治療として行われています。今回全国で行われた適応外病変800例の治療成績が集計され報告されました。一括完全切除率は77%、穿孔6.9%、局所遺残8.2%という結果で、追加手術例の約10%にリンパ節転移を認めたという結果でした。ちなみに現在ガイドライン適応病変は、2cm以下の肉眼的粘膜癌(cM)で、組織型が分化型(pap, tub1, tub2)、陥凹型ではUl(-)に限るとなっています。また適応拡大病変とは、M癌で分化型Ul(-)、分化型Ul(+)では3cm以下、未分化型Ul(-)では2cm以下のものをさします。今回の発表は、術前適応拡大病変と考えたが、切除後適応外と判明した場合がほとんどであるということでしたが、内視鏡的治療を適応拡大するには、やはり年齢や全身状態も考慮して総合的に判断する必要があると考えます。野田消化器科クリニック 野田昌男