JDDW2013に参加しました。平成25年3月よりピロリ感染性胃炎に対する除菌治療の保険適応が認められましたが、エソメプラゾールを用いた一次除菌治療の有用性の報告がいくつか見られました。除菌成功率は他のPPI使用群では70%くらいですが、エソメプラゾール使用群では80%を超えるようです。ただし二次除菌になると、突出した有用性は認められないようです。
またランチョンセミナーで本郷先生(藤田胃腸科病院)安藤先生(滋賀医科大学)より、潰瘍性大腸炎に対するGCAP(白血球除去療法)の有用性の報告がありました。ステロイド治療には蓄積性の副作用があることが知られていますが、発症初期(ステロイドナイーブ)の段階からGCAP治療を行うことで、高い寛解導入率が得られる可能性が示されました。最近潰瘍性大腸炎に対する分子標的治療の保険適応も通りましたが、GCAP治療はTNFだけでなく、ほかのサイトカイン産生細胞も除去することで、幹細胞からのより安定した白血球導入が図れることが分かりました。
嚢胞性膵疾患(IPMN)は、癌の合併率がやや高いことが知られていますが、分枝型(12%)は主膵管型(4%)に比しやや頻度が高いようです。嚢胞径3cm以上、変化率の高いものは要注意で造影CTにて6,7mm大の壁在結節が見られるものは手術適応があるようです。また田中先生(九州大学)は総括のなかで、基礎的検討では、胃型は癌化しにくいが癌化すると悪性度が高く、腸型は癌化しやすいが癌化しても悪性度はそれほど高くない、と報告されました。これって私が長年やっていた胃癌の病理学的検討で、観察してきたことと全く同じではないかと、少々感慨深いものがありました。
野田消化器科クリニック
野田昌男