平成20年5月8日(木)、第94回日本消化器病学会総会に参加しました。
-シンポジウム大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して-
大腸癌に併存する腺腫は非併存腺腫に比べて有意に大きく(p<0.005)、また異型度も高い(p<0.001)ことから、必ず切除しておくべきであるといえます。また大腸腺腫の累積発生率は65歳以上、右側大腸、3ヶ所以上切除後で有意に高いので注意が必要ですが、基本的に5mm以下の隆起性ポリープでV型pit pattern以外のものは、follow upでよいと考えられます。一方、Index lesion(IL)を癌あるいは10mm以上の腺腫を認めるものと定義しますと、IL累積発生率が3%を超えるのは13ヶ月後、Semi clean colon(5mmを超える病変がない状態)達成後は36ヶ月であることから、サーベイランスの間隔は理論上Semi clean colonを達成するまでは1年ごと、Semi clean colonを達成してからは3年後に行うのがいいと考えられます。しかし問題はSemi clean colonを達成することで、大腸癌発生を防げるというデータがありません。大腸癌の罹患率がどんどん増え続けている現状を考えますと、やはり定期的(1年~3年ごと)に検査を受けることが大切なのではないでしょうか。野田消化器科クリニック 野田昌男