平成22年5月13日第79回日本消化器内視鏡学会総会に参加しました。
-ワークショップ鋸歯状構造を有する大腸病変の内視鏡診断と治療-
従来鋸歯状腺管構造をもつ大腸ポリープは悪性化のない病変として扱われてきましたが、近年これらの病変からも癌化例がみられることが明らかとなり”serrated pathway”が新たな発癌経路として注目されています。Serrated adenomaの頻度は全腺腫中0.5%と比較的稀なものですが、その癌化率は約10%と決して低いものではありません。現在では主にHP(hyperplastic polyp)、TSA(traditional serrated adenoma)、SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)に分類して議論がされていますが、TSA、SSA/Pからの癌化率は各々約8%、約20%あるようです。とういうことはたとえ一部分の生検でgroup 1と診断されても10mm以上のポリープはやはり内視鏡切除をした方がいいということになります。特に若い人の場合、腫瘍径が大きい場合は気をつけなければならないようです。野田消化器科クリニック 野田昌男
-ワークショップ国際診療ガイドラインを踏まえたIPMNの内視鏡診断の現状と問題点-
IPMNには主膵管型と分枝膵管型があり、前者では約60%以上癌を合併するため全例が、後者では嚢胞径30mm以上のもの、主膵管径7mm以上のもの、あるいは壁在結節を有するものが手術適応として推奨されています。全体としてIPMNではその経過観察中約3%に通常型膵癌が発生するようですが、そもそも高齢者に見られることが多く、手術となるとその侵襲はかなり大きなものになるため、Oversurgeryになることが危惧されています。CTやエコーはその診断に有用ですが、超音波内視鏡ができる施設ではやはりそれ以上に診断能が高いようです。野田消化器科クリニック 野田昌男