JDDW2010でシンポジウムNAFLD/NASHの最近の知見に参加しました。喫煙、閉経後(エストロゲン欠乏状態)、ファーストフード・マーガリンの過剰摂取、膵切除後、慢性膵炎などでNAFLD・NASHの悪化が認められることが報告されました。またこれらの肝機能障害に対して鉄制限食が有効であったり、降圧薬であるARB阻害剤が有効であったりすることが示されています。外来でも高血圧、高コレステロール血症に肝機能異常を伴う方を時々見かけますが、これらの疾患はNAFLD/NASHの発生にも密接に関係しているようです。現在日本では推定約1000万人のNAFLD/NASH患者がいるといわれています。食生活の欧米化で肝硬変にならないように毎日の食生活には十分気をつけたいものです。野田消化器科クリニック 野田昌男
JDDW2010で病態からみたパネルディスカッション炎症性腸疾患の新しい治療選択に参加しました。潰瘍性大腸炎に対しては現在5-ASA製剤、ステロイド、アザチオプリンの経口投与などに加えて血漿交換療法(GCAP)やインフリキシマブの経静脈的投与が行われていますが、最近タクロリムスという薬が使えるようになってきました。これはIL-2というサイトカインの産生を抑える分子標的治療剤ですが、69%の方に有効であったと報告されています。副作用は低マグネシウム血症と手指振戦等ですが、問題はトラフとよばれる有効血中濃度を測定しながら投与しなければなりません。潰瘍性大腸炎では大腸がんをはじめとして悪性疾患の合併が多いことが知られています。年一回の大腸カメラとともに定期的な全身チェックも忘れないようにしましょう。野田消化器科クリニック 野田昌男