JDDW2017参加報告

 胃癌療法の新時代ということで、国立がんセンター朴成和先生の講演を拝聴した。平成29年9月22日、がん化学療法後の切除不能胃癌に対してNivolumab(オプジーボ®)の保険適応が認可された。今まで様々な分子標的治療薬が胃癌治療に使用されてきたが、HER-2陽性胃癌に対するTrastuzumab(ハーセプチン®)のみが唯一有効で、その奏効率も約10%にとどまるものであった。胃癌のoncogeneの発現は多彩であり、また経時的にも変化する、いわば無秩序で変わり身の早い、分子標的治療薬が効きにくい癌であった。このような“きたない”癌こそ、免疫療法の良い標的であると期待され、約300例にNivolumabが投与された。その結果、奏効率は約10%であるが、2分の1の症例でPRとなり、約8カ月の延命効果があったという。
 しかし注意すべきはPseudoprogression(3-6か月増大しその後縮小)を示す症例や、Hyper progressive disease (8wで急激な多発肝転移)を示す症例があるという。4割の症例には効果があるが、6割には効果がないことも説明しなければならないのかもしれない。主な副作用は皮膚や内分泌系が多いそうである。免疫を賦活させるということで、潰瘍性大腸炎様病変や、間質性肺炎~ウェゲナー肉芽腫様病変、Ⅰ型糖尿病や重症筋無力症などが悪化した症例などが報告された。その作用機序とともに薬価も大変高価な薬品であるため、医師の間でも関心が高く、1000人収容の会場が完全に満席という講演であった。

整腸剤について

 最近当院ではビオスリー®を処方することが多いが、これには糖化菌、乳酸菌、酪酸菌が含まれている。酪酸菌の代謝産物である酪酸は腸を動かす作用がある。したがって便秘の人には、ビオスリー®とともに酪酸菌が主成分であるミヤBM®が有効なのかもしれない。一方、ビフィズス菌はその代謝産物が酢酸であり、これは腸を静める作用がある。したがって下痢の人には、ビオフェルミン錠®やラックビー®が有効であると考えられる。しかしビオフェルミンといっても、ビオフェルミン散®は糖化菌、乳酸菌(50年以上前の栄養状態が悪い頃に作られた製剤)であり、薬局で売られている新ビオフェルミン®は、乳酸菌、フェカリス菌、アシドフィリス菌の3種であるが、菌数が約1/3で、薬価は約2倍であるという。それではどうして乳酸菌製剤が効果を示すのかというと、乳酸菌は主に小腸で増殖し、大腸で増殖するビフィズス菌を助ける働きがあるからであるらしい。